カーボンフットプリント(CFP)とは? 重要性と活用方法、メリットを解説


記事のポイント

  • CFPは製品やサービスのライフサイクルを通じて排出される温室効果ガス(GHG)の排出量を換算し分かりやすく表示する仕組み
  • CFPは、企業、あるいは個人の活動がどれだけのGHGを排出しているかを定量的に示すことで、環境への影響を具体的に把握できる
  • CFPを可視化することで、排出源を特定し、削減すべき領域が明確になる

商品やサービスで排出される温室効果ガスを分かりやすく表示する仕組み

 カーボンフットプリント(CFP=Carbon Footprint of Product)とは、商品やサービスの原材料調達から生産、流通・販売、使用・維持管理、廃棄・リサイクルに至る「ライフサイクル」(商品やサービスが生まれてから廃棄されるまでの全過程)を通して排出される二酸化炭素(CO2)やメタン、一酸化炭素、フロンガスなどのGHGの量をCO2に換算し、商品やサービスにわかりやすく表示する仕組みです。

 CFPが誕生した背景には、温暖化や気候変動の脅威があります。2015年にパリで合意され、2016年11月に発効したパリ協定では、「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」という目標を掲げました。温暖化・気候変動の原因は人為的なGHG排出量の増加と言われており、温暖化・気候変動の緩和にはGHG排出量の削減が必要です。CFPを活用し、効果的にGHGの排出を削減することが企業にも求められています。

具体的な環境対策を立案するための基礎データとなる

 CFPは、製品、サービス、企業、あるいは個人により排出されているGHGを定量的に計算し評価する手法です。製品ライフサイクル全体(原材料の調達から廃棄まで)のGHG排出量を可視化し、分析することで、排出源の特定と、削減すべき領域が明確になり、製造プロセスの改善点の特定や、継続的な削減活動が策定できます。製品の設計段階からCFPを算定することで、原材料調達段階から廃棄段階までの環境影響を考慮し、持続可能なサプライチェーンの構築、サプライチェーンの最適化、エネルギー効率の改善や再生可能エネルギーの導入など、具体的な環境対策を立案することが可能となります。長期的な視点でのGHG排出量削減対策をビジネス戦略に組み込むことも可能となり、将来的な環境リスク低減や機会の創出にもつながります。

コスト削減や信頼性の獲得などのさまざまなメリットがある

 CFPの導入は、 コスト削減やリスク回避、ブランド価値の向上など企業に多くのメリットをもたらします。CFPを算定しGHG排出量削減の対策をすることで、原材料の効率的な使用と廃棄物の削減によるコストカットや、サプライチェーンの最適化による物流コストの削減などに繋がります。各国でGHG排出に関する規制が強化される中、CFPの算定と管理は法令遵守のために不可欠となってきています。将来的な規制強化に対する準備を整えることで、リスクを低減できます。また、CFPの公開を通じて、投資家、顧客、従業員、コミュニティなどのステークホルダーに対して環境への取り組みを明確に示すことで、透明性の確保ができ信頼を得られます。年次報告書やサステナビリティレポートにCFPのデータを掲載し、環境への取り組みを示すことで企業のブランドイメージが向上します。

データ収集の難しさや専門的な人材確保が課題

 CFPの導入には多くのメリットがありますが、同時にいくつかの課題も存在します。まず、データ収集の難しさが挙げられます。CFPを正確に測定するためには、エネルギー消費量、原材料使用量、廃棄物の処理方法、輸送や物流の詳細など、非常に多岐にわたるデータが必要です。特に原材料調達からのサプライチェーン全体のデータを収集することは困難であり、膨大な時間と労力が必要です。また、CFPの計算方法について専門的な知識や技術を持つ人材の確保も需要です。

ValueFrontierがご提供するサービス

 弊社はLCA(CFP)研究実績の豊富な専⾨家が、⽬的に応じて、貴社の製品・サービスのLCA(CFP)評価を実施またはご⽀援します。弊社コンサルタントはSuMPO環境ラベルプログラム(製品・サービスの複数の環境側⾯を対象としたタイプIII環境宣⾔(EPD)のエコリーフと、CFP宣⾔を⾏うカーボンフットプリントプログラム)の登録レビューアとして、さまざまな業種や製品の検証の実績があります。プロダクトカテゴリルール(PCR)作成支援、環境ラベル取得、目的に合わせたCFP算定を支援します。お気軽にご相談ください。

※LCA(ライフサイクルアセスメント):製品・サービスのライフサイクル全体(資源採取―原料生産―製品生産―流通・消費―廃棄・リサイクル)又はその特定段階における環境負荷を定量的に評価する手法である。環境負荷には温室効果以外にもオゾン層への影響、酸性化、富栄養化、毒性、光化学オキシダント、生物多様性などの評価も含まれる。

お問い合わせフォーム:https://valuefrontier.co.jp/contact