先般、日本国政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を目指すことを宣言し、2030年までに陸と海の30%の保全を目指す「30by30目標」を掲げました。こうした動きを踏まえて、企業も脱炭素や生物多様性保全への取り組みを加速化させています。しかし、環境・社会課題に取り組んだ成果をどのように測れば良いのでしょうか?実際には上辺だけの取り組みもあるのが実情です。
弊社では、長年培ってきた事業評価の経験をもとに、企業の取り組みが社会にもたらす変化(インパクト)を中立的・専門的な立場から適正に評価するだけでなく、改善案も示すことで、企業による脱炭素・生物多様性保全事業のより効果的な実施を支援しています。
また、企業活動のサプライチェーンもグローバル化しており、ESG投資の観点から、サプライチェーンにおける社会・経済影響の把握が、企業にとっては非常に重要な事項になっています。弊社では、事業評価の一環として行ってきた環境社会配慮分析の経験をもとに、企業グループ全体による適正な環境社会配慮を支援しています。
インパクト評価事例
Cases of Impact evaluation
01
マレーシアの生物多様性・生態系保全の達成度を評価
事業の背景・概要
伐採と乱開発による自然破壊に対するJICAの取り組みを支援
マレーシアは地球上の生物種の約6割~7割が生息する国の一つで、世界最大の花ラフレシア属を含む15,000種以上の顕花植物、オランウータンやテングザルを含む1,500万種以上の陸生脊椎動物、そして世界最大の蝶トリバネアゲハ属を含む15万種以上の無脊椎動物が生息しています。一方で、同国のサバ州では商業伐採やアブラヤシのプランテーションの乱開発などが急速に進み、森林の減少と共に生物多様性の破壊も進んでいたことから、生物多様性保全に対する取り組みが求められていました。そのため国際協力機構(JICA)は5年間にわたり「ボルネオ生物多様性・生態系保全プログラム」を実施し、弊社は同事業が完了した3年後に評価を行いました。評価においては、事業内容を精査したうえで、生物多様性・生態系保全に係る各種指標を設定し、同事業が目指していた目的の達成度合を測定しました。また、同事業が実施されたサバ州は、豊かな自然環境を背景にエコツーリズムが盛んなため、同事業の結果、サバ州の生物多様性・生態系保全が進んだことによる観光業へのインパクトについても評価を行っています。


02
ルーマニアの火力発電所事業を多面的に分析・評価
事業の背景・概要
火力発電所から排出される二酸化硫黄
ルーマニアは欧州連合(EU)加盟にあたり、同国の火力発電所から排出される二酸化硫黄(SO2)をEUの排出基準に適合させる必要があり、そのための対応が課題となっていました。そのため国際協力機構(JICA)は、排煙脱硫装置を設置するための「トゥルチェニ火力発電所環境対策事業」を実施し、弊社は同事業が完了した3年後に評価を行いました。評価においては、排煙脱硫装置が据え付けられた結果、同発電所から排出されるSO2がどの程度減ったのかを検証するため、排煙脱硫装置の稼働率と、SO2排出量削減率や大気中SO2濃度などを確認しました。また、「四日市喘息」がかつてそうであったように、SO2による大気汚染は呼吸器系疾患を引き起こすといわれていることから、近隣病院での呼吸器系疾患患者数の推移を確認しました。このように弊社では、あらゆる事業評価で多面的な分析を実施しています。


