前回の記事では、Scope3排出量算定において1次データを用いた算定の重要性について解説しました。環境省ガイドラインでは、さらに、これらの1次データの品質評価がどのように行われるのかを紹介しています。
1次データの品質はどのように評価されるのか
1次データの品質は単なる数値の正確さだけでなく、算定の前提条件やデータの背景情報を含めて評価されます。
GHGプロトコルにおけるデータ品質指標として、以下の項目が挙げられます。

1次データの品質は多角的な補足情報を総合的に評価する
上記のような観点で1次データの品質を評価するためには、排出量そのものの数値に加えて、それを支える「補足情報」の把握が不可欠です。
ガイドラインによる具体例として、以下の項目が挙げられています。

まず、保証・検証の有無として、第三者による検証が実施されているか、その対象範囲(どのスコープ・カテゴリか)を確認することが重要です。加えて、算定範囲や除外項目・ルールを把握することで、どのプロセスが含まれ、何が除外されているのか、その判断基準の妥当性を評価することができます。また、算定基準や算定対象期間、地理的範囲といった前提条件の違いは、データの比較可能性に大きく影響するため、条件を揃えて解釈することが不可欠です。
さらに、スコープ別内訳や活動量の種類(金額ベースか物量ベースか)を確認することで、排出量の算定アプローチの違いを把握できます。
参照している排出原単位データや、どの程度1次データが活用されているかは、データの精緻さや削減努力の反映度を評価する上で重要な指標となります。
そのほか、排出量にカーボン・クレジットによるオフセットが含まれていないかといった点も確認が必要です。
これらの補足情報を総合的に確認することで、単なる数値比較では見えないデータの前提や限界を理解し、より実態に即した評価が可能となります。
実務上のポイント:完璧を求めすぎず継続的な対話を
一方で、これらすべての情報を初期段階から網羅的に収集することは、実務上必ずしも現実的ではありません。そのため、まずは今できる範囲で1次データの品質評価を行い、サプライヤーとの継続的な対話を通じて、徐々に入手できる情報を増やしていくことが推奨されています。
この過程では、サプライヤーへの説明会の実施や協力依頼、場合によっては算定支援などを通じたエンゲージメントが重要な役割を果たします。
第三者による保証・検証の位置づけ
データ品質をさらに高める手段としては、第三者による保証・検証も挙げられます。
GHGプロトコルでは、保証・検証は必須ではないものの、正確性や完全性を担保する観点から推奨されています。
製品ベースのデータであれば、CFPに対する保証・検証やEPDのような第三者検証済みデータの活用が考えられます。一方、組織ベースのデータでは、サプライヤーのScope1・2・3排出量が保証されているかどうかを確認することが重要です。
データ品質は「継続的に高めるもの」
上記のように、1次データの品質評価は単なる数値の精度確認にとどまらず、前提条件や算定プロセスといった補足情報まで含めた総合的な視点で行う必要があります。また、初期段階から完璧を目指すのではなく、サプライヤーとの対話を通じて段階的に精度を高めていくことが重要です。
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