【コラム】SBT FLAGの目標設定・申請支援を開始

弊社コンサルタントが執筆したコラムを随時掲載します。GHGプロトコル、SBT、TNFDなど開示フレームワークの改訂をはじめとして、サステナビリティ関連の実務担当者のお役に立つさまざまなトレンドをご紹介していきます!

SBT FLAGの目標設定・申請を支援
――森林・紙製品や食品製造・加工・小売業などで必須のSBT FLAG

記事のポイント

・SBTiが森林・土地・農業のFLAG(Forest, Land and Agriculture)のガイダンスを発行
・SBT申請にあたり、2023年4月以降、FLAGセクター該当企業またはFLAG関連排出量が20%以上の企業はFLAG目標設定が必須(現状では中小企業は対象外)
・既にSBT認定済で上記に該当する企業は、GHGプロトコルの「土地セクター・炭素除去ガイダンス」確定(2024年半ばに最終版公開予定)後半年以内にFLAG目標の設定が必須

●SBTイニシアティブの概要と申請のメリット

2015年12月に採択されたパリ協定で、世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べて「2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求する」という目標が掲げられました。Science Based Targetsイニシアティブ(SBTi)はパリ協定の目標を達成するために、科学的知見に整合した目標である「Science-based target」(SBT)と、目標を達成するために必要な削減量を定めています。各国の企業は、SBTi事務局にSBTを申請し、認定を受けることで、投資家や社員など、社内外のさまざまなステークホルダーに対して、パリ協定と整合した温室効果ガス削減に取り組んでいることをアピールできます。

●SBT FLAG目標の設定が必要な企業と設定期限

SBTiはセクター共通の横断的なガイダンスに加えて、温室効果ガス(GHG)排出量が多いと考えられている電力、化学、製造業、海運、金融機関などのセクター別ガイダンスを順次策定しています。FLAGは森林・土地・農業(Forest, Land and Agriculture)を対象とするガイダンスです。

SBT FLAGセクターに該当する企業もしくは、FLAG関連排出量がScope1,2,3の20%以上を占める企業は、FLAG目標の設定が必須となります。また、SBT FLAGセクターに該当しない企業でも、FLAG目標の設定が推奨されています。いずれも中小企業(従業員500人未満・非子会社・独立系企業)は対象外です。

SBT FLAGセクター

森林・紙製品(林業、木材、紙・パルプ、ゴム)

・食品製造(農業生産、動物原料)

・食品・飲料の加工

・食品・生活必需品小売業

・タバコ

SBT FLAGセクター企業の目標設定期限

・新規にSBTを申請、または既にSBT目標(Near-Term SBT)を認定済みで目標更新が必要な企業は2023年4月末以降FLAG目標を設定
※目標の設定にあたっては、現在公開されているGHGプロトコル「土地セクター・炭素除去ガイダンス」のドラフト版を使用

・SBT目標(Near-Term SBT)を認定済みで目標更新の時期に該当しない企業はGHGプロトコル「土地セクター・炭素除去ガイダンス」の確定後半年以内にFLAG目標を設定

世界のGHG排出量のうち22%が農業、林業、その他の土地利用に由来しているといわれていますが、森林減少と土地利用の変化による排出量や削減目標を設定している企業は少ないのが現状です。森林破壊を食い止め、植林や森林再生を進めるために、GHG 排出量の算定と報告の国際的な基準を開発しているGHGプロトコルが「土地セクターガイダンス」の作成を進めており、2024年半ばに最終版を公開する予定です。SBTiはGHGプロトコルに先行して、FLAGセクターのガイダンスを2022年9月に公開しました。

●FLAG目標の設定を含むSBT申請支援

FLAG目標の設定が必要な場合、現時点では未確定である土地セクターガイダンスを基に、排出量をFLAG関連とそれ以外に切り分けたうえで、排出削減目標を個別に設定する必要があります。弊社では、2006年の創業以来、製品・サービスのLCA(ライフサイクルアセスメント)に取り組んでおり、そのノウハウを活かし、近年は第三者検証を意識した精度の高いサプライチェーンGHG排出量算定のご支援を行なっています。土地改変や土地利用はLCAの環境影響の一つであり、土地セクターガイダンスとも密接にかかわっています。お客様の課題感やご要望を伺いながら、社内外のグローバルな専門家のネットワークを活用し、FLAG目標を含むSBT申請をご支援します。

ValueFrontierの特徴

  • 機会の提案力

  リスク対策にとどまらない機会の提案⼒が強みです。
  20年以上にわたり事業を通じた環境課題解決を支援してきた実績があります。

  • 国内外のネットワークを活かした強力なチーム

  創業来30か国以上での調査・コンサルティング実績があります。
  国内外のNGOや専門的な人材との多様な連携ネットワークを有します。

  • 環境影響の見える化を基礎としたデータに基づくコンサルティング

  LCA、CFP、GHG算定などデータに基づく環境影響の見える化に関する支援の実績が多数あります。    
  開示枠組みに沿うだけでなく、納得・説明できるデータに基づく情報整理でご支援します。
  どうぞお気軽にご相談ください。

●関連リンク

SBTiセクターガイダンス
https://sciencebasedtargets.org/sectors

FLAGガイダンス
https://sciencebasedtargets.org/sectors/forest-land-and-agriculture

GHGプロトコル「土地セクター・炭素除去ガイダンス」のドラフト版
https://ghgprotocol.org/land-sector-and-removals-guidance

お問い合わせフォーム:https://valuefrontier.co.jp/contact