推計47兆円のビジネスチャンスを産むネイチャーポジティブ経済移行戦略が公表!


記事のポイント

  • 多くの経済活動が自然資本に依存しているが、自然資本の持続的な劣化が社会経済の持続可能性にとって明確なリスクとなっており、ネイチャーポジティブ経営への移行が必要
  • 「ネイチャーポジティブ経済移行戦略」を環境省、農林水産省、経済産業省、国土交通省の連名で策定し、国家戦略や潜在的な市場規模などを公表
  • ネイチャーポジティブの取り組みは企業にとって単なるコストアップではなく、自然資本に根ざした経済の新たな成長につながるチャンス
  • 自然資本と事業の関係を踏まえ、比較的着手しやすい負荷低減への着手を奨励

約47兆円のビジネスチャンスを産むネイチャーポジティブ経済とは

 「ネイチャーポジティブ経済」とは、「自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を止め、反転させることに資する経済」であり、具体的には、以下の流れとなっています。

  • 個々の企業が自社の価値創造において自然保全を重要課題として位置付ける「ネイチャーポジティブ経営」への移行
  • バリューチェーン全体で負荷の最小化と製品・サービスを通じた自然への貢献を最大化
  • 社会変革により上記に取り組む企業を消費者や市場が評価
  • 行政や市民も含めた多様な主体により、生物多様性に負の影響を与える資金の流れをネイチャーポジティブに貢献する方向へ転換

 ネイチャーポジティブ経営への移行は単なるコストアップではなく機会であり、世界経済フォーラム(2020年)に基づいた推計によると、日本におけるビジネス機会の経済規模は2030年時点で約47兆円と推計されています。

ネイチャーポジティブ経済の実現を目指す日本の国家戦略

 2022年12月に開催された生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で、新たな生物多様性に関する世界目標である「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択されました。2010年に採択された愛知目標の後継となる目標で、「生物多様性の損失を止め反転させるための緊急の行動をとる」という2030年ミッションと、2050年に向けて4つの長期のゴールを定めた2050ビジョンなどが策定されました。
上記を受けて各国が生物多様性の国家戦略を策定しており、日本では2023年3月に「生物多様性国家戦略2023-2030」が閣議決定され、基本戦略の1つに「ネイチャーポジティブ経済の実現」が組み込まれました。TNFDなどの情報開示を通じた企業の価値創造プロセス構築とビジネス機会の創出、2030年までにネイチャーポジティブ経営を実施している大企業の割合を現状の30%(2020年度 経団連アンケート調査)から50%に引き上げ、「2030生物多様性枠組実現日本会議」が呼びかけているネイチャーポジティブ宣言の発出を現状の28団体から1,000団体に増やすなどの戦略を掲げています。

出所:環境省「昆明・モントリオール生物多様性枠組について」
出所:環境省「ネイチャーポジティブ経済移行戦略 参考資料集

ネイチャーポジティブ経営の具体例と潜在的な市場規模

環境省はネイチャーポジティブ経済への移行によるビジネス機会の推計や具体例として、環境配慮型養殖技術、都市住宅の行動変容と生物多様性の回復による顧客満足の向上、バイオマスや廃材からプラスチックに代わる素材へのアップサイクリング、Techベンチャーによる技術活用などさまざまな企業の取り組みと潜在的な市場規模を紹介しています。

出所:環境省「ネイチャーポジティブ経済移行戦略 参考資料集

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弊社では、ネイチャーポジティブ経営への移行により創出される具体的な機会の洗い出しや財務影響の試算など戦略策定とともに、企業価値向上のストーリー構築、TNFDによる開示などをご支援します。
また、生物多様性に関する国際動向を理解するための社員教育から、自社の事業がサプライチェーンを通じてどのように自然に依存・影響しているのか、どのような地域で特に懸念があるのかなどリスクや機会の整理、投資家とのエンゲージメント、ESG評価機関のスコアアップ、Webサイトやサステナビリティレポートによる情報開示まで、お客様の目的に合わせたご支援が可能です。

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  • 世界観を理解する
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