TNFD 最終提言v1.0を公開 考え方の背景と企業が取り組むべきこと
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記事のポイント
- TNFDが自然に関する情報開示フレームワークの最終提言v1.0を公開
- 国際的に非財務情報の開示範囲が気候変動だけでなく生物多様性にまで拡大している
- 気候変動と比較してさらに複雑な情報の整理が求められる中、単なるリスク回避だけでなく企業価値を向上させていくという本質を捉えた情報の整理・開示が重要
生物多様性とは
「生物多様性」とは、狭義では、生態系の多様性、種の多様性、遺伝子の多様性という3つの段階の多様性を指します。しかし、社会的な側面ではより広義の「自然」に近い意味でとらえられています。つまり、人間の生活は生物多様性の恩恵に依存して成り立っており、食料や燃料などの物質の供給だけでなく、気候の調節や防災・減災に役立ち、レクリエーションの源泉としても活用しています。
近年、人類による活動は生物多様性が持っている自然の回復力、生産力を上回る規模で自然資本を消費していると言われており、生物多様性の喪失が、社会・経済的に大きなリスクをもたらすことが国際的な共通認識となりつつあります。
生物多様性の3段階(狭義)
- 生態系の多様性:森林、里山、河川、湿地、干潟、サンゴ礁など、いろいろな種類の生態系がある
- 種の多様性:動物、植物、細菌などの微生物まで、いろいろな種類の生物がいる
- 遺伝子の多様性:形や模様、病気への耐性など、いろいろな種類の遺伝子を持った生物がいる
生物多様性と企業の関係
世界経済フォーラム(WEF)によると、世界の国内総⽣産(GDP)の半分以上が、森林、土壌、水、生物などの「⾃然資本」に依存しています。すべての企業が事業プロセスにおいて生物多様性と関連しています。また、気候変動と生物多様性は密接な関係があり、生物多様性の保全に取り組むことで気候変動のリスクも軽減できます。
ESG投資においても気候変動に続いて生物多様性が注目を集めており、生物多様性への悪影響が懸念される企業は資金調達が難しくなる可能性があります。地球環境と企業の持続性を一体化した経営の実現ともに、投資家などに対する適切な情報開示が求められている状況です。
TNFDに沿った情報開示
そのような中で、国連機関やNGOによって設立されたTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)は、経済の健全な成長と環境保全の両立を目的として、2023年9月に開示の枠組みとなるフレームワークの最終提言(v1.0)を公開しました。これにより、企業による自然関連情報開示の加速が予想されます。
TNFDのフレームワークは、自然関連の依存とインパクト、リスクと機会が企業の事業、戦略、財務に与える影響に加えて、事業が環境社会に与える影響を整理し、組織の管理体制なども含めて開示することを求めています。
気候変動に加えて生物多様性という複雑で難しい課題が加わることとなりますが、TNFDのフレームワークは、リスク回避だけでなく、新たに生まれるビジネスチャンスを獲得し、中長期的に企業価値が向上していく道筋を、投資家をはじめとしたさまざまなステークホルダーに対して開示するための有効なツールとして利用できます。
ValueFrontierがご提供するサービス
弊社では、生物多様性に関する国際動向を理解するための社員教育から、自社の事業がサプライチェーンを通じてどのように自然に依存・影響しているのか、どのような地域で特に懸念があるのかなど、事業にとってのリスクや機会を整理したうで、投資家とのエンゲージメントや、ESG評価機関のスコアアップなど、お客様の目的に合わせたTNFDの情報開示をご支援します。
主なサービス内容
- 世界観を理解する
- 社内研修、生態系観察会 など
- 経営に統合する
- 戦略策定、方針策定、情報開示 など
- 実行に伴走する
- 社員の保全活動、技術の海外展開 など
- 取組を評価する
- インパクト評価 など
具体的なサービス内容はこちら:https://valuefrontier.co.jp/services_goal
ValueFrontierの特徴
- 機会の提案力
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